アメリカはすごいと思った、1978年。

私は驚いた。

やはりアメリカだ。

強烈に思った。

あるフォークソング好きの友人が高円寺の「猫屋敷」でその話しをした。

ボブ・ディランに「ハリケーン」と言う詩がある。

これぞ時代に慣れ合わないフォークソングだと思った。

以下が歌詞の日本語訳だ。

ハリケーン / ボブ・ディラン
夜の酒場にピストルの音が響く
パティ・ヴァレンタインが上の階から降りてくる
彼女は血の海の中にいるバーテンダーを見る
「神様、連中は彼らをみんな殺したわ」と彼女は叫ぶ
ハリケーンの物語はこうして始まる
当局が罪を着せた男
彼が決してやらなかったことに対して
当局は彼を刑務所の独房に入れた。かつて彼は
世界チャンピョンにもなれる器だったというのに
ハリケーンカーター
三つの死体が寝転がっているのをパティは見る
そしてベロというもう一人の男は、なぜかうろうろ動き回っている
「俺はやってない」と彼は言って、両手を挙げる
「俺はレジの金を盗んでいただけなんだ。分かってくれよ
奴らが立ち去るのを見たぜ」彼はそう言って立ち止まる
「俺達のうちの一人が、警察を呼んだほうがいいんじゃないか」
だからパティは警察を呼ぶ
そして赤いランプを光らせながら、警官達が現場に到着する
ニュージャージーの暑い夜の中を

その間、現場から遠く離れた町の別の場所で
ルービン・カーターは友達2人と一緒にドライブしている
カーターはミドルウェイト級1位の男だ
警官が彼の車を道路脇に寄せたときには
どんな最悪の事態が自分の身に降りかかろうとしていたのか、
まったく知らなかった
以前もそんなことがあった。その前にもそんなことがあった
パターソンではそんなことが日常茶飯事なんだ
黒人は町の通りを歩かないほうがいいのさ
警官の注意を引きたくなかったらね

アルフレッド・ベロには相棒がいて、そいつが警察にチクった
アーサー・デクスター・ブラッドリーと一緒にうろついていたら
「ミドル級ぐらいの体格の男が二人、走り出てくるのを見た」
とそいつは言った
「二人は他の州のナンバープレートが付いた、白い車に飛び乗った」
そしてミス・パティ・ヴァレンタインは、ただうなずいた
「ちょっと待てよ。こいつは死んでないぜ」と警官は言った
だから彼らは彼を病院に連れて行った
そしてこの男はほとんど見ることができなかったのに
「お前は犯人を特定することができるな」と彼らはその男に言った

朝の4時、連中はルービンを連行する
彼を病院に連れて行き、二階に上らせる
傷ついた男は顔を上げ、死にかけている片方の目を通して見る
「なぜこの男を連れて来たんだ? この人じゃない!」と彼は言う
そう。ハリケーンの物語はこうして始まる
当局が罪を着せた男
彼が決してやらなかったことに対して
当局は彼を刑務所の独房に入れた。かつて彼は
世界チャンピョンにもなれる器だったというのに

4ヶ月後、ゲットーは燃え上がっている
南米でルービンは、自分の名をかけて戦っている
その間、アーサー・デクスター・ブラッドリーはまだ盗みに興じている
そして警官達は彼に脅しをかけている。罪を着せる誰かを探して
「バーで起こったあの殺人事件を覚えているか?」
「逃亡者を見たと言ったことを覚えているか?」
「法律の味方をしたいと思うだろう?」
「あのボクサーかもしれないと思うだろう? 
あの日の夜に走っているのをお前が見たのは」
「自分が白人だということを忘れるなよ」

「確信が持てない」とアーサー・デクスター・ブラッドリーは言った
警官達は言った。「お前みたいな坊やには、休みが必要だな
モーテルの盗みの件で、お前は挙がってるぞ。
お友達のベロとも話をするからな
さあ、刑務所に戻ることもないだろう。いい子になれよ
社会のためにもなるんだぞ
あの野郎は肝が座ってるし、ますます強気になってやがる
俺達はあいつをぶち込みたいんだ
この三人殺しをあいつの仕業にしたいんだ
あいつは『紳士ジム』じゃないんだぜ」

ルービンはたった一発のパンチで相手を沈めることができた
でも彼はそのことを大げさに自慢するのが決して好きではなかった
「それは俺の仕事だ」と彼は言ったものだ。「金のためにやるのさ
そして仕事が終わったら、むしろどこかへ行きたいね
パラダイスにでも行きたいよ
そこにはマスが泳ぐ川が流れ、空気がきれいなんだ
そして俺は馬に乗って小道を走るのさ」
しかしその後、連中は彼を刑務所に送り込んだ
そこで連中は、一人の男をネズミにしようとするのさ

ルービンの持ち札はみんな、事前に印を付けられていた
裁判は茶番劇だった。彼に勝ち目はなかったんだ
判事はルービン側の目撃者達を、
スラムから来た酔っ払いと片付けてしまった
傍聴していた白人達にとって、ルービンは過激派だった
そして黒人達にとっては、頭のおかしいただのニガーだった
彼が引き金を引いたことを、誰も疑わなかった
連中は凶器の銃を提示することができなかったのに
検事は、彼がそれをやった犯人だと言った
そして陪審員の意見は一致した。全員が白人だった

ルービン・カーターはまやかしの裁きを受けた
罪状は第「一」級殺人。証言者は驚くなかれ
ベロとブラッドリーだった。二人ともぬけぬけと嘘をついた
そして新聞はみんな、流れに乗った
そんなにすごい男の人生がどうして
愚か者の手に握られてしまったのか
彼が明らかにはめられた様を見ると
この国に住んでいることを恥ずかしく感じずにはいられない
正義が遊びになってしまった国に

今や背広を着てネクタイを締めた犯罪者どもがみんな
好き勝手にマティーニを飲んで、太陽が昇るのを見ているのに
ルービンは、1辺10フィートの独房でブッダのように座っている
無実の男が、生き地獄を味わっている
それがハリケーンの物語だ
でも連中が彼の汚名を晴らすまで、その物語は終わらない
そして彼が服役した時間を彼に返すまで
連中は彼を刑務所の独房に入れた。かつて彼は
世界チャンピョンにもなれる器だったというのに

 

 

ディラン

人種差別による冤罪をテーマに歌ったボブ・ディランの曲だ。

この曲は冤罪事件を真正面から取り上げそしてヒットした。

そこが私を驚かせた一番のところだ。

冤罪事件をテーマした詩は日本にも捜せばあるだろう、しかしそれがヒットするだろうか?

今でたとえるとエグザエルが免田事件をテーマにした歌を歌いヒットすることと同じだ。

批判を覚悟で言うと完全に管理されたエグザエルがこのようなテーマを詩にしないし、また放送局も流さない。

ここがアメリカのすごいところだと当時は本気で思った。やはりアメリカだと。

どうも近頃軟弱な詩が多いと感じるのは歳のせいだと思うことにしている。

 

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